レーシングカートはコーナーリング時には左右のタイヤの回転半径を処理するデファレンシャルという乗用車で装備されている装置をもたないので実は理屈的には曲がるのが苦手である。たとえば、左にコーナリングする際には、左側のタイヤと右側のタイヤの走行する距離(内輪差)を解決するものをもたないため、コーナリングスピードによって内側と外側のタイヤのどちらかがスリップ(スライド)していることになるのである。
このことを解決する方法は2つしかない。
・一つは、積極的にスライドを誘発させて、コーナーの径に対して早めにマシンの向きをかえるドリフトコーナリング
・一つは、ブレーキングによるフロントへの加重とステアリングの操作をリンクさせてコーナーに対して内側のリアタイヤを浮かせて内側のタイヤのスリップによるロスを最小限にするインリフトコーナリング
フロントアライメントやフロントのトレッドを変更することは、・ステアリング操作時にタイヤのグリップを効果的に引き出す という効果を期待のほかに・リアタイヤのインリフトを誘発させるという効果を期待しておこなうのである。
ツーリングカーなどのレーシングカーなどでは、トーは若干アウトでセッテイングされることが多い。
しかし、スプリントのレーシングカートではネガティブキャンバーによるジャイロ効果などはほとんど無視していいので、トーは0度、あるいはイン1mmぐらい。トーアウトのセッテイングを推奨する人が未だ多いがその場合の根拠は、ステアリングの最初のレスポンスが上がることが理由として考えられる。ミッションカートやサーキットカートなどではブレーキ時の安定性から、多少のジャダーは生じるもののトーアウトにセッテイングする。
トーのセッテイングで気をつけなければならないのが、ステアリングのセンターをしっかり出して固定してから行わなければならないということである。
アッカーマン式のレーシングカートでは、センターがしっかりでてないままトーを調整すると無意識の内にトーアウトになってしまうからです。
たいていのレーシングカートは出荷段階で12度から15度程度のキャスターがセットされていることが多い。ENERGYカートは18度。
キャスター角を深くとるセッティングをすることでステアリング操作時のリアのリフト量を増加させることができる。レインなどの場合にリアへの荷重移動をオーバー気味に起こさせたい時には有効なセッテイング。
レーシングカートで採用されているアッカーマン式のステアリング機構のおかげで、ターンイン時にステアリングを操作した時、内側のホイールはポジティブ方向に、アウト側のホイールはネガティブ方向になる。
出荷時には0度かコンマ5度程度のネガティブキャンバーがついていることが一般的。
キャンバーを適切にセッテイングすることによって、コーナリング時のタイヤと路面との接地面積を増加させることができる。タイヤテンパレチャーなどを用いて、タイヤの表面温度が内・中・外側で平均化するところでセッテイングする。
キャンバーセッティングで気をつけなければいけないのが、キャスターもキャンバーもキングピンを操作することにより行うため、キャンバーだけ、または、キャスターだけを変えることはできないということだ。例えば、キャスター角を変えるとキャンバー角もかわってしまい、トーも変わってしまいます。
トレッドの変更はレーシングカートでは最も行う手法。一般的にナロー(狭く)した時は、タイヤグリップの限界点を引き出しやすく低速域ではレスポンスも上昇する。ワイド(広く)すると、タイヤはドライビングに対して初期から緩やかなスリップを発生させるがロールセンターを低くする効果をもたらすのでコーナリングスピードを上げることができる。
トレッドはナロー(狭く)あるいはワイド(広く)にセッティングできるが、トレッドを広げるということは、Scrub Radius(フロントナックルのデザイン)のおかげで、それだけリアのリフト量も増えるということです。